認知症と漢方薬
~認知症の前兆に対する効果に期待~
先日、ある認知症に関するシンポジウムに参加した折、偶然、演者の先生とトイレで言葉を交わしたことがきっかけで、休憩時間と懇親会でお話を聞く機会を得ました。
この先生は、もっぱら新薬の効果の仕組みを研究することが本職でありながら、個人的に漢方薬をお使いになったご経験があり、本番の講演以外で率直なご感想を聞くことができました。
そして、以下の確信を強くしました。
1) 認知症の多くは、そのかなり以前から、感情の起伏などに前兆があり、早い段階から脳の血流を改善しておくことで、その後の精神的負担をかなり軽く出来る。
2) タンジン製剤は予防的摂取が効果的であり、出来れば30代から、細い血管の流れ改善をしたほうが良い。
3) 先端の抗認知症薬で下痢・嘔吐し、施設で非協調行動が目立った患者が、漢方薬で3年ぶりに「問題行動」がピタッと止んだ。漢方薬は、証が合えばますます有望。
以下は、その先生の当日の講演要旨です。タンジン製剤の認知症に対する効果がテーマで、日本薬学会2009年京都での講演とほぼ同じと思われます。
老化は、脳の細胞数が減っていくことでもあるのですが、脳の血流が悪いとそのスピードが速くなります。ここでは、脳血管を繰り返しふさいで、予めタンジン製剤を与えたラットへの影響を調べました。
ⅰ)迷路実験で、予めタンジン製剤を与えたものは記憶傷害が抑えられた。
ⅱ)ふさいだことによる脳細胞の死滅を、タンジン製剤は防いだ。
ⅲ)ふさいだことによる脳の血流の低下を、タンジン製剤は防いだ。
ⅳ)実験に使った脳細胞でタンジン製剤の抗酸化作用を測定したら、当帰芍薬散の10倍以上、抑肝散をも大きく上回りました。
2)軽い認知症に対する精神・神経安定作用
ⅰ)タンジン製剤は薬物による異常興奮を抑えた。そのメカニズムも実験で確かめられた。
ⅱ)タンジン製剤は攻撃行動も抑えた。
ⅲ)タンジン製剤は幻覚様症状も抑えた。
ⅳ)タンジン製剤は睡眠時間を延長した。
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