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2021年10月20日 (水)

9月定例会

9月度例会は他地区との合同開催による特別WEB定例会でした。


講演は2部に分かれており、内容は中医学講師による、


①「自己免疫疾患・クローン病の中医学的考察」

②「自己免疫疾患・関節リウマチの中医学的考察」

という内容で行われました。

その内容を一部ご紹介します。



 

①「自己免疫疾患・クローン病の中医学的考察」何暁霞先生


まず炎症性腸疾患について西洋医学的解説がありました。


炎症性腸疾患は、特異性と非特異性に分けられ、クローン病は非特異性のグループに分類されます。潰瘍性大腸炎もまた同じグループです。(ちなみに特異性なグループには、薬剤性や感染性の腸炎などが含まれます。)
クローン病は、好発年齢が10−30代の若い世代で起こり、小腸末端が後発部位ですが、小腸から肛門までのあらゆる部位に発生します。原因はさまざまな要因が関与を予測されていますが、現段階では不明です。

クローン病の発生機序は、
①腸粘膜の破壊、②マクロファージ、樹状細胞が抗原を補足、③炎症性サイトカインの放出、④炎症反応が誘導され、⑤さらに超粘膜が破壊されるというサイクルで起こります。
合併症は穿孔、狭窄、瘻孔です。
同じ非特異性のグループである潰瘍性大腸炎との違いは、潰瘍性大腸炎は表層の粘膜層のみに起こり、かつ直腸から大腸中心に発生するのに対して、クローン病は粘膜下の深い層にまで起こり、消化管のどこにでも発生する点です。

クローン病の主症状は、下痢、血便、腹痛、発熱、体重減少、肛門症状。
この病気の治療での目標は、治癒というよりも、寛解期間をいかに長く保つかで、方向性は中医学的治療でも同様です。
生活上の注意としては、低脂肪・低残渣食、疲れの軽減、冷飲を控える、適度な運動をすることです。


中医学的には、クローン病は、下痢、休息痢、腹痛、腸結、腸瘍、腸風と呼ばれます。
中医学的な病気の要因は、寒、湿、熱、気滞、瘀血で、関連する内臓は、心、肝、脾、胃です。
弁証としては、湿熱内薀。
この病気の方は舌が紅色、舌苔が黄色を示すことが多いようです。

治療薬は、脾虚湿盛、肝鬱脾虚、気虚発熱、気滞血瘀と分類される弁証ごとに使い分けていきます。
講演内で紹介された症例では、下痢のための内服薬とともに、肛門部の炎症に、通常内服するお薬を座浴で使用されたことが印象的でしたが、この二剤で良好な経過を辿っていました。
また、クローン病は免疫反応が関与しているため、β-グルカンを含む健康食品の有用性が示唆されており、関連する論文の紹介もありました。
このようにして、クローン病は中医学的な治療により寛解期間を延長されることが紹介されました。

 

 

②「自己免疫疾患・関節リウマチの中医学的考察」陶惠寧先生

関節リウマチとは、自己免疫疾患、リウマチ性疾患、結合組織疾患、膠原病であると説明されました。

それぞれに
・自己免疫疾患とは、免疫に異常がみられる疾病
・結合組織疾患とは、結合組織に病変が起こる疾病
・リウマチ性疾患とは、関節、骨や筋肉などに痛みと強張りを生じる疾病
・膠原病とは、皮膚や関節など膠原繊維の多いところに障害・炎症が起きる疾病のことであると説明がありました。

関節リウマチとは、原因は免疫の異常であり、病理的には炎症、起こる部位は関節(滑膜)であり、症状は関節の痛み・腫れ・こわばりから変形・機能障害が起こることです。
発症因子はさまざまな予測がされてますが不明で、余談ですがおもしろいことに環境因子として、歯周病の関与があるらしく、これは中医学的には、肝腎不足、脾虚、胃熱、肝鬱の状態と言えます。
関節リウマチは、骨・軟骨・靭帯の破壊、滑膜の炎症から軟骨以外の骨まで壊していきます。検査は、血液検査による、CRP、血沈、RF因子、抗CCP抗体の測定です。

関節リウマチの症状はまず、小さい関節(指の第二関節や手と足のつけ根、手首など)から始まります。
似たような病気に変形性関節炎がありますが、こちらはCRPが陰性であり、一方関節リウマチはCRPが陽性であることから、関節リウマチは全身性の炎症であることがわかります。


中医学的には関節リウマチは、痺症と言います。
病因は、風寒湿+湿熱、瘀血です。
弁証論治は、行痺、痛痺、着痺、風湿熱痺。
中国での診療ガイドラインでは、風湿痺阻、寒湿痺阻、湿熱痺阻、痰瘀痺阻、瘀血阻絡、気血両虚、肝腎不足、気陰両虚に分類され、それぞれに治療薬が決まってきます。
ただ関節リウマチの患者の舌は、淡白で、胖大であることが多いことから、このタイプわけでは多い型に偏りがあることがわかっており、治療において助けになります。

治療する医師によって治療法にも違いがあり、温腎通絡として治療する方もおられれば、清熱利湿として治療する方もおられます。
実際の症例の紹介がありましたが、経過に基づいて治療薬が紹介され、貴重な情報となりました。

また同時に関節リウマチの合併症(貧血、骨粗鬆症、睡眠障害、間質性肺炎)に対する対処法の紹介もありました。

関節リウマチの養生は、精神的健康、食事のバランス、禁煙、睡眠確保、積極的に運動などが勧められています。
中医学的な治療と西洋医薬品との併用はよく行われていることであり可能です。
関節リウマチの治療目標は、鎮痛、炎症抑制、軟骨破壊抑制、関節・骨破壊抑制です。
関節リウマチに漢方薬は、抗炎症作用、抗酸化作用、免疫調節作用、微笑循環改善作用、破骨細胞形成抑制作用が期待されています。



 

以上、2時間余りにわたって、お二人の演者から熱心な講演が行われ、また参加者も200名を超え、日本中医薬研究会(会員)の積極的に学ぶ姿勢が、オンラインながらも伝わってきた時間となりました。

何かお困りのことがありましたら、日々研鑽を積む、当研究会の会員店にご相談ください。

 

奈良市 こじか漢方薬局 久吉 猛雄

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